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99%の誘拐 [本(国内作家)]

タイトル:99%の誘拐
著者:岡嶋二人

<内容>
末期ガンに冒された男が、ノート3冊分に及ぶ手記を遺してその生涯を終えた。そこには、時効となった息子の誘拐事件と、それにまつわる様々な出来事について、事細かく書かれていた。
12年後、父が手記を遺していた事を知り、それに目を通した息子は、5歳だった自分を襲った誘拐事件の全貌をそこで初めて知る事となった。
息子はその手記をきっかけにして新たな誘拐事件を計画。コンピュータによって制御されるという前代未聞の完全犯罪が幕を開けるのであった。

<感想>
上記の内容を見てもらうと分かるように、この話は最初から犯人がバレバレであります。
例えばこれがクリスティの本だったとしたら、「本当の犯人は誰なのか?」と必死になって考えるところなんですが、この本では考えるまでもなく正真正銘この息子が誘拐犯であります。
で、正直「最初っから犯人が分かっているミステリーってどうなのよ?」って思ったのですが、読み進めるうちにどんどん話に引き込まれていて、いつのまにか夢中になって活字を追っている自分がいました。

今でこそインターネットが当たり前な世の中になっていますが、この本が書かれた当時はまだまだ世間にはそれほど浸透していなかった時代。ゆえに、随所にどうしても「古さ」を感じてしまう部分はあったのですが、それを差し引いても「よくここまで話を作り上げたよなぁ」って感心してしまう内容でした。

コンピューターを駆使して子供の誘拐に成功したところから、最後の身代金受け渡しまで、ハラハラドキドキしっぱなしで、読んでいる間ずっと「先を読まずにはいられない!」という心境にさせられてしまいました。
ただちょっと「話が都合良く行き過ぎなんじゃないの?」って思った部分もあったんですが、私的には最後まで楽しんで読めたからそこは大目に見ます〜。

それから、忘れてはならない、この本の内容で一番私の心をくすぐったツボ!!
それは、話の中で一番の盛り上がりを見せたラストの身の代金受け渡しの舞台となった場所が、私自身が実際に何度か足を運んでよ〜く知っている場所だったということ!
周囲の描写ひとつひとつに対して、「分かる〜!」とか「そうそう!」とか言いながら一人でバカみたいに盛り上がってしまいました。
自分もその身代金受け渡しの場所に実際にいるような気分を味わえて、そういう意味で、本来のミステリーの楽しみ方とはまた違った面白さがありました。
そして、作者が現地の状況等をちゃんとわかった上で書いている事に感心しました。


ちなみに、ラストの舞台となった私が何度も足を運んだという場所は下記です。ネタバレになっちゃうので、この先は読みたい方のみどうぞ。

ラストの舞台となった場所は、山形蔵王なのです。
身代金受け渡しが、スキー場だったんですよ。警察の目を欺く為に、ゴンドラやリフトを使って様々なコースを行ったり来たりするんです。
私は山形蔵王には何度もスキーで足を運んでいるので良く知っているんですが、スキー場に関する描写が本当に現地を知っていないと書けないような内容だったので驚いてしまいました。


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コメント 4

PaPe

あっという間に引きずり込まれて
読んで感心してしまいました。
完全犯罪に拍手でした。

こんにちわ!翠さん!
アガサの百科事典、手に入れました。
by PaPe (2006-09-21 23:17) 

翠

>PaPeさん
ご訪問&コメントをありがとうございます〜m(_ _)m
私もこの本は冒頭からあっという間に話の中に引き込まれた作品でした(^^)
犯罪手口の鮮やかさが素晴らしかったですね〜。
by (2006-09-24 21:03) 

ぐれなでぃん

翠さんが何度も足を運んだ場所が気になる(?_?)
小説や映画の舞台がツボってようあるわ~
行った事がなくても憧れの場所とか。。
by ぐれなでぃん (2006-09-26 21:17) 

翠

>ぐれなでぃんさん
ホント、小説や映画の中に出てくる場所って、結構ポイントですよね〜。
この本はたまたまクライマックスの舞台となった場所が知ってるところで驚いたんですけど、実際に舞台となる場所が好きなところだったので購入した本なんかもあります☆

ちなみに、この本に出て来た私が何度も足を運んだ場所は、ネタバレになってしまうので、記事の一番下に白文字で追加記入しておきます。
↑ご覧になりたい時は反転して下さいね〜(^^)
by (2006-09-29 11:31) 

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